第160回「食糧難について考える」

第160回 探究型ワークショップ実施!
テーマは「食料難について考える」です!
 

今回の問い

今後日本は食糧難に見舞われるか
それとも見舞われないか
また今回のウクライナ侵攻をきっかけに
(他の要因を絡めてもOK)
我々の生活はどのような影響を受けるだろうか
 

インプットセッション

>>新米の季節って思えば、面白いですね。
>新パンの季節ってあるのかな。。。?
>>お肉とか作っている国は高めに出るのですよね>カロリーベース
>>茨城122%だ
>>農産国…!>茨木
>>東京という大市場があるからですかねえ。。?
 

グループトーク

<<教育業 理科の先生 Iさん>>
もし、食糧不足が起きたらどうなる?
実際に、日本で食料危機に陥った場合、われわれ国民はどうなるのだろうか……。
 
農水省のシミュレーションによると食料品の輸入がストップしたときには、カロリーの高い焼き芋や粉吹き芋などの「イモ類」を主食にして、毎食のようにイモを食べる「イモ類中心」の食生活を提案している。
小麦やコメは1日1杯程度に抑えてイモを代替にすることで主食を賄い、
さらに牛乳は5日に1杯、焼肉は19日に1皿、卵は3カ月に1個……。
そんな食生活に切り替えていくことになるとしている(農林水産省「食料自給率及び食料自給力の検証、2019年11月」より)。
当然ながら、農地をカロリーの高い「イモ作」に切り替えることも必要になってくる。
 
日本の場合、食糧の7割近くを輸入品に頼っているわけだから、
たとえば戦争や災害などによって、長期にわたって食料品が海外から入ってこなくなれば、当然ながら食料品が不足する。
農水省は、いざというときに備えて農産物備蓄を行っているが、次の3品目しか備蓄がない状態だ(2019年度現在)。
それもまた、民間にお願いベースでの“備蓄”が含まれている。
 
●コメ……政府備蓄米の適正備蓄水準は100万トン程度
●食糧用小麦……国全体として外国産食糧用小麦の需要量の2.3カ月分
●飼料穀物……国全体としてトウモロコシ等の飼料穀物100万トン程度を民間備蓄
 
要するに、政府が単独で食糧を備蓄しているのはコメのみ、というわけだ。
 
万一、海外からの食糧品が入ってこないことが明らかになった場合、可及的速やかに全国の農地でイモの栽培など、高カロリーな作物をつくり始めなければならない。
 
その場合、9割近くを輸入に頼っている「エネルギー」も絶たれると考えられる。
 
言い換えれば、農作業も人力や家畜の労力に頼ることになる。
まさに、半世紀以上前の世界に戻ることになりかねない。
 
農業従事者の増員必要?
農林水産者の発表によると、2000年の「農業就業人口」は約390万人、2010年の「農業就業人口」は約260万人でした。
しかしその後は、毎年10~50万人ほど減り続け、2019年には約168万人にまで減少しました。
これでも農業就業人口のうち、自営農業である「基幹的農業従事者」の人数は、2010年が約205万人だったのに対して、2019年は約140万人でした。
 
食を握られることは国の独立を失うこと
命を守り、環境を守り、地域を守り、国土・国境を守っている産業を国全体で支えることは、欧米では常識だが、それが常識でないのが日本。
非常識のままでいては危機を乗り切れない。
国は不測の事態のセーフティネットと出口対策に財政出動しよう。
例えば、コメ1俵1.2万円と9千円との差額を主食米700万トンに補填するのに3500億円あればよい。
これで国民の命が守れる。
全国の小中学校の給食無償化には約5000億円あればよい。
これで子供たちの未来を守れる。
食料こそが国家防衛の要である。
米国からのF35だけで6.6兆円(147機)の武器購入・維持費と比べても、この食料安全保障費が出せない理屈はない。
「食を握られることは国民の命を握られ、国の独立を失うこと」だと肝に銘じて、
国家安全保障確立戦略の中心を担う農林水産業政策を再構築すべきである。
国民が求めているのは、日米のオトモダチ企業のために際限なく国益を差し出すことではなく、
自分たちの命、環境、地域、国土を守る安全な食料を確保するために、
国民それぞれが、どう応分の負担をして支えていくか、というビジョンとそのための包括的な政策体系の構築なのである。
 
国民全体で食料を守る意識
今こそ、食料の国内生産を維持・拡大するために、国民全体が考えよう。
生産、流通、小売、消費、関連産業は「運命共同体」である。
小売は買い叩きをやめよう。
農家のコストを無視して小売が売値に合わせて卸売業者に産地価格を指示するのでは農家は苦しくなるに決まっている。
農家がつぶれたら小売も持続できなくなる。
消費者も「安ければよい」をやめよう。
農家がいなければ食べるものがなくなる。
生産から消費までのネットワークを強化し、
「今だけ、金だけ、自分だけ」を脱し、
「三方よし」の持続的循環経済を公共支援もセットで確立しよう。
世界一過保護な日本農業という誤解が国民に刷り込まれてしまっているが、実態はまったく逆だ。
米国では、コロナ禍による農家の所得減に対して総額3.3兆円の直接給付を行い、3300億円で農家から食料を買い上げて困窮者に届けた。
日本はほぼゼロだ。
そもそも緊急支援以前の政策として、
米国・カナダ・EUでは設定された最低限の価格(「融資単価」、「支持価格」、「介入価格」など)で
政府が穀物・乳製品を買上げ、国内外の援助に回す仕組みを維持している。
これも日本にはない。
さらに、その上に農家の生産費を償うように直接支払いが二段構えで行われている。
これも日本にはない。
この差もあまりにも大きい。
 
ー--
 
<<化学系学生 Kさん>>
世の中が複雑になればなるほど戦争は起きにくくなる。
戦争になる可能性も食糧危機になる可能性も少なくなってくる。
メリットをかき集めました
小麦が輸入されないことで米を食べるようになる。
和食嗜好になり健康的に!
エンターテイメントが発展
 
>>エンターテインメインとが発展!?
>>関わる国が大きくなると、なかなか喧嘩はできなくなりますよね
(と、いいつつ、起こったときは大きくなるという話も半面あったり。。)
>>ぼくも世界はグローバル化で政治的にも経済的にもつながりがないと生きられない国同士で戦争なんか起こらないと思っていたんですけどね、今回のロシアの行動でその考えは破壊されたと理解しています。。。
>>戦争はパワーバランスが崩れると起こりやすくなりますね。
>>そうなのですよね>パワーバランス
>>例えば、国内でもイデオロギー対立によって内戦が起きたりしますね。
>>グローバル化に関する見解は、「グローバルだと分かっているけど、喧嘩する」(だってグローバルだって、自分の国を富ませるための考え方なのだから、最終的には喧嘩は仕方ない)という側面が必要かもです…
>>イデオロギーは「どっちも一番大切で融和しにくい」ようにみえるから、喧嘩になりやすい(例:日本は日本人のものだから、外国人はでていけ、異論は認めない)ですよね
>>確かに疫病を乗り越えるごとに科学や医学が大幅に発展したらしいです
>>石油の値上がり⇒代替の発電方法
>>経年劣化
>>森林伐採
・・・
等々
>>太陽光発電
>>コロナがDX(WEB会議)を後押ししたように、ピンチが齎す影響、という側面は面白いですね>はじめさん
>>山のソーラーパネル、土砂崩れの問題にもなっていますよね
>>日本は雨が多い、のが大きいですよね
>波力(海に設置)などとのハイブリットで、という計画もありますよね
>>メガソーラーは実際そんなにクリーンではないですよ
>>困っている人に対して
お金の支援
千羽鶴
音楽で楽しませる
・・・
等々をする人が出てくるのではないか?
>>エンターテインメント
>>エンタメに限らず、時代が動く時は新しいサービスや価値が出てくる
>>翻訳、代替肉
>>戦争によって物価の感覚が変わる
>>今まで割に合わなかったものが割に合うようになる
 
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<<教育業・留学関連 Oさん>>
食糧難に見舞われる。
と思う。
(いまのままでは)
いくら見方によってはそこそこ日本は食料を自給しているとはいえたとしても、
・小麦
・大豆
などとても重要な食物を輸入に頼っている
 
今後、
いまの世界事情だけでなく、
そもそも懸念されている世界的な人口爆発も合わせると、
水や食料は不足することが予測されている。
輸入しにくくなる、
ということがいろんな面で強くなるのでは?
・物資そのものの不足
・円高(などによる日本の購買力低下)
ということで、このままいくとこの問題はかなり深刻だと思われる。
日本ではとくに。
農業政策など、JAの在り方など、いろいろ見直す必要があると思われる。
 
>>円高で死んだ国はいない(円(≒通貨)安は沢山ある)ですね
>>腹八分に医者いらず
>>現代先進国における食糧難の定義
ージャンクフードばかり食べて健康を崩してしまっている状態
(カロリーは高いけど栄養がない)
という見方もある
 
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<<士業・猟師 Hさん>>
日本は食糧難に見舞われるか?
→わかりませんが、食糧難に見舞われるか?を延々考えるよりそうなったときにどうするかを考えておくほうが大切だと思います。
自分の場合は、豆苗、納豆、クレソン、芋、米、鹿とニゴイを食べます。
 
生活への影響について
新自由主義的経済(規制緩和、グローバル資本主義)は抑制の方向へ
→自国ファーストやブロック経済が進むかも
 資源を持っている国が強くなる
 ただ、戦後のように農家が権力を持つ時代が来るような気はしない
 貯蓄がなく、ぎりぎりの生活をしている人や偏食家が一番困る
 パン→米、牛肉→豚肉、鶏肉へシフト、その後は代替肉や昆虫食、雑草食へ
 カネがないと何も手に入らない都会生活をあきらめる人が増えるかも
 漁師や猟師が増える?
 
>>鹿とニゴイ。。。?
>>Hさんは資産家(やまぐらし)だからなあ。。。
>>狩猟技術”だけ”…!
>>種苗法
>>都会暮らし
⇒お金がないと何も手に入らないと思ってしまいガチ
>>代替食糧は「雑草が生えている」日本は強いですよね。>砂漠には雑草すらないわけですし。。。
 
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<<教育業 学校の先生 Yさん>>
食糧はいずれ奪い合う
資源を持っている国は強い
⇒じゃあ日本はどうするか
 
>>資源国が有利か?というのは面白い視点ですね!
>>地球の平和度による
>>人口は倍々になるけど、食料はそうならない、というやつですね
 
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<<SDGs関連活動・団体 広報等 Kさん>>
農業の後継者問題
自分たちの食料は自分たちで作ろう、と言うムーブメントが広がっている。
エネルギーが依存型
戦争によってリンや窒素など化学肥料が不足
⇒今のままでいいのか、昔ながらの農業に戻るべきか
日本は水輸入大国
いずれ地球全体で資源は足りなくなる
⇒お金を出しても買えなくなる
エコビレッジ
 
>>「人口」⇒中国で発明された統計用語
>>人の数を食べる量で数えた
>>僕は電気も食料もみんなが自分で少しずつ生産するのがいいと思ってます。
 
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【ファシリテーターより】
今回もありがとうございました!
ファシリテーターの木原です。
 
時事ネタ・社会情勢ネタということで、
国連によって発表された「食料危機」をテーマとして扱ってみました。
ロシア・ウクライナはいずれも農業大国で、世界の市場の何割かを占めており、かの2国の戦争は市場に影響を及ぼしています。
特にこの2国からの直接の輸入に頼っている国では、既に大きな影響を受けているところがあり、食糧価格の高騰によるデモが起き、国家非常事態宣言が出されたり、年内には国民の3人に2人が何かしらの支援が必要な状態になる国があるなど、深刻です。
 
幸いにして、日本ではまだコンビニやスーパーに行けば食糧品がちゃんと棚に並んでいます。しかし世界の市場は繋がっていますので、今後何かしらの影響は受けるのかもしれません。
(既に、価格上昇の影響は受けていると言えるでしょう)
 
そして、その先に何が起きるのか、です。
現代日本に生まれ、普通に生活している限り、社会全体としての食糧難というのはあまり実感する機会はないかもしれません。
(災害や貧困等はまた別です)
しかし過去には古今東西多くの人たちが、もちろん我々のご先祖様たちも、飢饉に苦しんできました。それらは歴史の教科書に書かれたおとぎ話ではなく、現代と地続きの同じ世界での出来事なのです。我々もまた彼らと同じ歴史の中を生きている以上は同じ経験をする可能性もなくはないのではないかと思います。
 
カロリーベースでみれば、今のところ世界の人たちが食うに困らないだけの食料を生産できています。しかしそれも今後、人口増加等でどうなるかはわかりません。いずれ起こるはずだった潜在的問題が、戦争によって一気に顕在化したに過ぎないという参加者のご意見に、とても感銘を受けました。こういったことは普段中々強く意識することは少ないかもしれませんが、一人ひとりが考えていくべき重要なテーマなのかもしれません。
 
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
またやりましょう。
 
次回は、
6月3日(金)19:30~21:00
テーマは「“思い出”の探究 ~記憶はどこまで正確か」
を予定しています。
引き続き、楽しくて学びになる探究を実施してまいりますので、お楽しみに!