第194回「漢字を使う意義」

第194回 探究型ワークショップ実施!
今回は「漢字を使う意義」というテーマで探究していきました。

今回のテーマについて

ファシリテーターの木原です。

今回は「なぜこんなに画数が多く、書くのも大変な漢字を今も使っているのだろう」ということについて考えていきました。今回はいつも参加してくださっている方と2人、途中で1人合流してくださり3人での探究となりましたが、漢字を使うことの意義について深く語り合うことができました。

私自身は、漢字は日本の文化を支える重要な柱であり、絶対に残すべきという立場の人ですが、あえて今回はMWCのコンセプトに従って「どちらの意見でも、どんな意見でも、OK」というスタンスで実施しました。(といっても、今回の参加者は、皆さん漢字賛成派だったため、トーク自体はそちらの方向性で盛り上がりました。)いずれにせよ、「そうか~、漢字を使うことにはこんな意義があったのだなぁ」と再確認できる場になればと思い実施しました。

インプットセッションの準備をするにあたり、色々調べる中で

・漢字圏の国は意外と沢山あるということ
(よく考えればベトナムも漢字圏)

・韓国以外にも使用する文字を別のものに切り替えた国が沢山あるということ

などが、とても印象に残りました。漢字は「表意文字」に分類される文字体系なのですが、どうも漢字圏以外ではこの表意文字の実例はあまり多くないようで、結構特殊な文字体系なのだな~と思います。グループトークで、扱いが難しくて廃れてしまったのではないか(ベトナムのように)という視点が出ましたが、とても納得です。漢字圏の言葉は難しいとよく言われますが、ラテン語系の言葉は基本的に表音文字(音が基本単位)なのに対し、漢字は表意文字(意味が基本単位)なのが大きな要因なのかなと思います。

「生きる」
「生まれる」
「誕生」
「生誕」
「生粋」
「生もの」
・・・
という感じで、「生」という漢字は外国人が最も混乱する漢字の1つだと聞いたことがありますが、音で理解しようとすると確かに難易度が高すぎますね。(笑)

また、時代を超えて複数の文字体系を扱うことを通時的ダイグラフィアというそうなのですが、韓国以外にもそういった国が沢山ありました。インプットセッションにも載せましたが、ベトナムやトルコ、アゼルバイジャンなどはいずれも現在はラテン語系の表記が使われており、別の文字に切り替えるなら、やはりそこに落ち着くのか~と思います。しかし、アゼルバイジャン語は過去に5回別の文字体系に切り替わっており、ラテン語表記は今回で2回目、ということに大変驚きました。彼らはどうやって歴史を紡いでいるのか、とても気になります…。また1回目が「突厥文字」であることも、世界史的な横のつながりを感じることができ、面白いなと思いました。

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グループトーク

参加者の意見・やりとり

日本は、廃止にならない?
それでも漢字使えなくなったら、それこそ古文書にあるようにカタカナのみの文字表記やカナ文字のみの表記?と・・・・

やはり、先ほど書いた経過かも?もしくは完全にローマ字表記?
でも味気ないなと・・・・・
やっぱり、文化の一部 自分の一部 だから感じなくなって欲しくない。

もし漢字がなくなったら、ローマ字表記になるのですかね?

そうだと思うな~

韓国と同じ状況にはなりそうですよね

昔はどれも少なからず表意文字だったのではないかな。

エジプトのヒエログリフとか

でも複雑だから、なくなってしまったのでしょうね

中国もシンプルな表記に変えちゃったから、失われてしまったものもあるかもしれない

日本も常用漢字にしてしまったから微妙なところだけど、その意味では、日本とか、後は中国の少数民族・辺境のエリア?(中国の統治下にいながら、独自の文化を隠し持って守っているようなところ)の方がむしろ昔から伝わってきたものをちゃんと守れているかもしれませんね。

韓国が今も漢字をちゃんと残していれば、もっとコミュニケーションを取りやすかったのに、、

国交の様も少し変わっていたかもしれませんね

そう考えると、遣唐使の時代は(航行技術等は別にして)今よりずっと留学のハードルは低かった?
なぜなら言葉の壁が少ないから(漢字を書けば伝わるし)

同じ漢字を使う世界最先端の国がすぐ隣にあるのは、強いな~

もし漢字が使えなくなったら……

【メリット】
音の間違い、特に名前などで読み方がわからなくなることがなくなる。また、タイピングでの変換ミスによる誤字が少なくなる。
【デメリット】
同音異義語の区別がつかなくなるので、文章が読みにくくなる。日本の大切な文化が失われてしまう。
【新しい表記システム】 ひらがな、カタカナとラテン文字の表記になるのでは。今でも見かけるが、外来語を元の表記のまま使用することで文章が少しでも読みやすくなる。(英語教育にも有利にはたらくのでは)

今までに使えなくなっていたら……
GHQの指揮下で公用語が英語になっていた場合、日本語と英語は言語的に違いすぎるのでそれらが混ざった新しい言語(クレオール)になっていたのでは。(シンガポールの中国語と英語が混ざっているシングリッシュのように)

漢字の廃止に限定すると同音異義語が衰退して語彙数が増えていたのではないか。

発音での微妙な違いが表記に反映されるのでは。(中国語のピンインのように)この場合、さまざまな方言がある中でどれを基準にするのかで議論が起こり、方言間で格差が生まれる。

ファシリテーターの意見

〇もし漢字が使われなくなったら

こんな風になる
 ↓
モシカンジガツカエナクナッタラ、モジガトッテモヨミニククナルトオモイマス。
マタカンジガハイシサレルトイウコトハガッコウデナラワナクナルトイウコト
ボクラハマダオトヲキケバカンジヲイメージスルコトガデキルケド
カンジヲナラワナイヒトハ、ソウハイカナクナル。

韓国がハングルに切り替えたのと同じことが起こる
・歴史書が読めない
・名前を失う

〇自分の名前を失うことについて
私の名前は「吉隆」
「吉」が「隆」する、という意味
その意味が失われる。
親が名前を付ける時に込めた願いもなくなってしまう。

〇以前聞いた話
「気」には「氣」もある
ここからわかるように、日本人は米を食って気を補充してきた民族
「氣」がなくなることで、そのことが分からなくなり、皆米を食べなくなってしまった。
「氣」という漢字があれば、あ~俺らにはやっぱり米が一番なんだな、といつでも思い出せる。
我々日本人にとっての「幻想殺し(イマジンブレイカー)⇒それが漢字?

かな文字主体になっても、
残念ながら英語はできるようにならない。
なぜなら文法構造が違うので。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
またやりましょう。

次回は

3月17日(金)19:30~21:00
第195回「JAXAにアイデアを送ろう! 第二弾」を予定しています。

引き続き、楽しくて学びになる探究を実施してまいりますので、お楽しみに!